こころの地平を見渡せば
あんなに寝付けなかったのに目覚めがいいのはなぜか足先までこもった熱が急速に冷めてゆく曇ったガラスににじむ景色を淡い期待に溶かして薄れゆく夢のかすかな手がかりも思わず手放せそうな 小高い丘の上からまぶしさに眼をしかめて見渡…
あんなに寝付けなかったのに目覚めがいいのはなぜか足先までこもった熱が急速に冷めてゆく曇ったガラスににじむ景色を淡い期待に溶かして薄れゆく夢のかすかな手がかりも思わず手放せそうな 小高い丘の上からまぶしさに眼をしかめて見渡…
帳がひらけて夜が明ける目まぐるしい速さで感情と感覚の境界線上を色彩がうごめいている地平の果ての小都市からこちらを振り返って見てみたい 熟れた柿色のカーテンが住宅地の向こうへ吸い込まれてあらたな砂漠の蜃気楼が灰色の天蓋を覆…
青緑色の壁に向かって二本の指の動きを追った風のない窓辺にしきつめた水晶が揺れて時を告げる 海底で泡はひとりでに産まれひと知れず故郷を目指すいくつもの藻屑にあおられながらひと思いに地上へ舞い上がる 全身を眼球に変えて存在を…
雨になる前の乳白色の空に山へ向かう一羽のカラスの濡れそぼった漆黒の翼が低空飛行で行く泉のそばの土くれにうつむいて夏の地虫をさがしていた澄んだ川面を陽光が水しぶきと戯れていたかつて暮らした街でわたしはかれらとの距離を一段と…
わたしが最初にあなたを知ったのは土のにおいを肌にまとわせ戸惑いをもてあましていた十七のある寒い日の暗い帰り道のことでしたあなたがただひとつのあなたでなく無数のあなたであることを中心から六つほどに分身しながら六芒星の姿で浮…
金柑飴をなめながら澄みわたる月空を眺めている飴色の光をあびてわたしは一個の天体になるわたしの瞳が星になりかなしみよろこびを照らす時わたしは瞳を奪われて見ることはもはやできないそれは月のやさしさ月の光の良心そうしてわたしは…
祝日の午前風に揺れるカーテン陽射しに色があるように錯覚する輪郭さえもあるように見える濃淡の影がまっすぐに伸びているのは窓枠に対して太陽が正面にいるからだろうと固定した頭がふわふわと考えている昨日一日着ていたスーツが抜け殻…
自分がないことの原因はいくつか考えられる。どのサイトにも同様に列挙されている。甘やかされてきて育ったので、自分で考えることができない。夢や目標がない。他人と競争することを恐れる。なにかを一から成し遂げた経験がない。など、…
自分がわからないとあなたはいう感情がないのだという 喜怒哀楽ひどく縁遠い国の言葉のようになつかしく思い起こす四文字喜怒哀楽また、愛と憎しみ熱い、生きるエネルギーを思わせる歓喜という言葉日常だれもがもつこうした感情について…
壁に落ちたひとこぼれの湖光の筋と涙の這った跡夜の名残とにじみ出る露のいっぱいに満ちた小さな部屋あなたの道のりを語ってください描ける空を思いのままにあなたの道のりを聞かせてくださいささやきよりも小さな声で明日の期待をふり切…