白い世界

壁に落ちたひとこぼれの湖
光の筋と涙の這った跡
夜の名残とにじみ出る露の
いっぱいに満ちた小さな部屋
あなたの道のりを語ってください
描ける空を思いのままに
あなたの道のりを聞かせてください
ささやきよりも小さな声で
明日の期待をふり切って脇目もふらずに
冬木立の森を疾駆した
けもののにおいを恐れて
都市の昏い庫内で眠った
あなたの思い出を語ってください
つめたい足のちぎれるような
あなたの思い出を聞かせてください
終わりの時がいつかやって来れば
残るものは何ひとつない
光の筋と涙の跡
白い世界を染めあげる
光の筋と涙の跡
白い世界でただひとつ
消えない孤独の記憶
あついためらいの吐息
あなたのやさしさを語ってください
押し殺された雷鳴の声を
あなたのやさしさを聞かせてください
いつかひとつになるために
ここではげしさに身を任せ
波を一身に受けたい
風をもろともせずに
ひとつ確かな手ごたえを
あたたかな光の筋と
遠い日の涙の点々としみる跡
白い世界は終わり
重たげにまたはじまる
白い世界は終わり
力なくいま微笑む

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